瀧神社の社務日誌

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くしゃみをすると魂が抜け出す!?

九月になりました!長月です。クラクラするような日中の暑さもようやく過ぎ去り、夏もそろそろ終わりかなという気配がしてきました。

私は暑さのピークも過ぎたというのにエアコンに「ガンガンいこうぜ」と作戦命令を出し、最強にして寝てしまったため、朝起きた時にくしゃみが止まりませんでした。

医学の発達した現在でこそくしゃみはウイルスや埃を激しい呼気とともに体の外へ排出するための反射的な反応と知られていますが、中世の人々はくしゃみの勢いで息とともに鼻や口から魂も一緒に吐き出されてしまうのではないかと心配していました。不意にもよおしてコントロールできない不思議な現象であるくしゃみを人間以外の何か邪悪な存在の仕業であると考えたようです。

徒然草』第四七段には「くさめ、くさめ」と言いながら歩く尼の話があります。その理由を問われて尼は、世間ではくしゃみをした人が近くにいたとき「くさめ」とその人に言わないと死ぬと言われているからだと答えました。「くさめ」は魂が出て早死にしないようにと唱える呪文だったようで「休息万命」の略であるとも言われています。その「くさめ」がいつしか「くしゃみ」という名前になり、その行為そのものを指すようになりました。

ちなみに英語圏でもくしゃみをすると肉体から魂が抜け出し病気になるという迷信があり、キリスト教に由来する「神様のご加護がありますように」という意味の“God bless you”をくしゃみをした人に声掛ける習慣があります。遠く離れた国であるのに考え方が自然と似てくるのがとても面白いですね。

この時期は急に気温も変わったりしますので、皆さま体調管理と夏風邪にはお気をつけください。

 ※「くさめ」の由来は相手を罵倒する言葉「糞食め」であるという説もあります。くしゃみをして抜け出した自分の霊魂を近くの悪霊に持っていかれないようにビビらせるために暴言を吐いたようです。悪霊に喧嘩売るなんて昔の方も「ガンガンいこうぜ」だったようです。