瀧神社の社務日誌

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狛犬は犬ではなくライオン?

神社の参道の両側には狛犬が置かれています。狛犬は魔除けの役割を担っており、悪いものの侵入を防いでいます。

狛犬のルーツはエジプトやインドにあると考えられています。古くからエジプトやインドでは王宮の門の前に獅子などの像を置いて守護とする風習がありました。後に中国に伝わると王宮だけでなく、寺院や陵墓の前に獅子などの像を置いて守護とするようになり、これが朝鮮半島を経由して日本に伝えられました。

狛犬の「狛」の由来である「高麗」は、正確に言えば朝鮮半島のことでありますが、その当時の日本では漠然と外国一般を表す言葉でありました。つまり朝鮮半島から来た犬という意味ではなく外来の犬という意味なのです。またエジプトのスフィンクスのように狛犬は元々は獅子=ライオンをかたどったものです。しかしライオンに馴染みのなかった日本ではこれを犬と見なすようになりました。

さらに狛犬は仏教の影響を受け、口が開いたものを「阿」閉じたものを「吽」といった二対の差別化も生まれました。

エジプトやインドのライオン像がシルクロードを通り、中国や朝鮮半島を経て獅子に姿を変え、海を渡り日本に伝わる。これをそのまま獅子の像として受け入れるのではなく、狛犬へと変化させるところに日本人や神道の良さがあります。外から来た文化・思想をそのまま鵜呑みにしたり逆に拒絶したりするのではなく、その考えの良い面を抽出して自分たちの文化に合わせて発展させる。ここに我々が見習うべき日本人として素晴らしさがあります。