瀧神社の社務日誌

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中今とは

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 神道には「中今」という考え方があります。

 「中今」は古くは『続日本紀(しょくにほんき)』の宣命に記され、後に本居宣長が「今をいふ也(中略)盛(さか)りなる真ん中の世とほめたる心ばへ有て」と解釈しています。明治時代を経て「中今」は“現在とは過去と未来を結ぶ中心点”を表す言葉となり、天地が窮まり無く永続であるという日本古来の時間観と重なり、「今を生きる心得」として用いられるようになりました。その心得とは、「今」とは過去と未来をつなぐ中心にあり、悠久なる歴史と自分自身との出会いである一刻一刻の「今」を力一杯に生きて、生活できうるかぎり価値あるものとし、未来を支えるための一端を担うことにあります。

 また、神道は祖先崇拝も基本の一つです。今のこの瞬間があるのは御祖先(みおや)のおかげであり、御祖先から受け継いだものを次の世代に引き継いでいくというものです。神道では、中今と祖先崇拝を重要としていることから、過去・現在・未来の永続性を大事にし、今さえ良ければいいという考え方ではなく、実りある未来へと繋ぐために一瞬の「今」を意識し懸命に過ごすことが求められています。

 過去・未来のことも思いながらも「今のこの瞬間を精一杯生きていく」ことが神道の神髄ともいえます。