瀧神社の社務日誌

神社や神話にまつわる話を中心に更新中!

御神札を新しくお祀りしましょう!

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 新しい年を迎えるにあたり、神棚をきれいに清掃して、新たに神社から受けた御神札を神棚にお祀りしましょう!

 神社から受ける御神札には、伊勢神宮の御神札である神宮大麻氏神様の御神札、台所にお祀りする竈神様の御神札などがあります。年の区切りであるこの時期に神社から新しい御神札を受けることにより、大神様の恩頼(みたまのふゆ)を戴き、新しい年も家族が無事であるように祈念し、お祀りします。今までお祀りしていた古い御神札は、今年一年が無事に過ごせたことを感謝し、神社にお礼参りをして納めます。

 日本には古来より、親から子、子から孫へと脈々と続く生命の繋がりを尊び、これを発展的に未来へ受け継ぐという考え方があります。この考え方は、例えば伊勢神宮でも20年ごとに社殿を造り替え、大神様に新しいお社にお遷り戴く式年遷宮が行われておりますし、その他の神社でも社殿を新造することにより、さらなる御神威の発揚が図られてきました。

 私たちが毎年、神棚の御神札を新しくするのも、まさにこうした考え方によることです。

神宮大麻について

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 年末年始に神社から戴く御神札には、氏神様の御神札の他に伊勢神宮の御神札である神宮大麻があります。伊勢神宮は皇室の大御祖神(おおみおやがみ)である天照大御神をお祀りする神社です。我々が普段生活をしている近くの神社(氏神様)がその地域を守っている神様であるならば、神宮は日本全国をお守りくださっている総氏神様になります。

 神宮大麻の起源は平安時代末まで遡ります。元来、神宮は個人的な祈願を受けない(私幣禁断)神社でしたが、諸国を巡った御師(おし、おんし)の活躍もあって、一般の崇敬を広く集め、神宮大麻の頒布も全国的に広がっていきました。大麻という名称は神社でお祓いを受ける際に用いられる大麻(おおぬさ)からきたものであり、御師の間でも「御祓(おはらい)」「お祓さん」といった通称が用いられていたことから、御神前に進む際の参拝者の清浄なる心持ちを表したと考えられています。

 毎年、重ねて御神威の発揚を願うためにも、新年には氏神様の御神札とともに、神宮大麻も新たに戴いてお祀りしましょう!

七五三について

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 すっかり秋になり、七五三詣の時期になりました!

 七五三の起源は平安時代の公家の習慣まで遡ります。当時は幼児の生存率が低く、特定の年齢まで命を繋ぎとめてくださったことを神様・御先祖様へ感謝し、家族で祝う儀式として行われ、その後武家社会にも広がっていきました。

 七五三詣とは三つの儀式の総称です。三歳の男女児の場合は「髪置(かみおき)」といい、もう赤ん坊でないという意味から今まで剃っていた髪を伸ばし始める祝儀です。また五歳の男の子の場合は「袴着(はかまぎ)」といって初めて袴を着用することの祝儀であり、七歳の女の子の場合は「帯解(おびとき)(紐解・ひもとき)」といって幼児用の紐を解き大人と同じ帯を用いることを表し、どれも子供の成長を社会的に認知するために行われてきた通過儀礼です。

 七・五・三という歳の数については、縁起のよい陽数であることに結び付いたものであり、また11月15日の日取りについては、天和元年(1681)のこの日に、五代将軍徳川綱吉の子息徳松の髪置祝いがおこなわれたことを前例にすると伝えられています。尚、本来では数え年で祝いますが、最近では満年齢で祝う割合が高くなり、参拝の日取りも11月15日に拘らず、都合の良い日に参拝する傾向が強くなっています。

 

暑さも寒さも彼岸まで

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 本日9月22日は秋分の日です。

 秋分の日は「祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ」のを法定の趣旨とします。秋分二十四節気の一つで、秋分の日を境に昼間がだんだんと短くっていきます。また秋分の日前後の各三日間、計七日間を秋の彼岸といい、墓参りなどが行われます。

「暑さも寒さも彼岸まで」という有名な言葉があります。お彼岸は季節の変わり目を感じることができる日です。農耕生活が中心だった時代、日本人は太陽を崇拝しており、気候の良いお彼岸は五穀豊穣を祈願する絶好の時期でした。春分の日は種まきが始まる時期で、秋分の日は収穫の時期です。そのため、春には収穫を祈り、秋には収穫を感謝してお供えをしてきました。

秋から冬にかけてのこれからの時期、コロナウイルスと同時にインフルエンザや風邪の流行のおそれがあります。どちらも発熱とせきという症状がよく似ているため、対応が非常に難しくなるといわれています。まだまだ油断することなく、これまでと同じように小まめな手洗いうがいとマスクの着用を徹底していきましょう!

十五夜について

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 猛暑の八月が過ぎ去り、秋を迎えようとしています。みなさま、いかがお過ごしでしょうか。毎年この時期になると気になるのが月見関連の商品です。月見うどんや月見バーガーなどなど、卵が追加されているだけなのに、なぜあんなにも魅力的に見えるのでしょうか...。

 十五夜は、お月見・名月・中秋の名月などと呼ばれ、古来、観月の好時節とされ、昔は月下に酒宴を張り、詩歌を詠じ、すすきを飾り、月見団子・里芋・枝豆・栗などを盛り、新酒を供えて月を眺めて楽しみました。「中秋」は旧暦の八月十五日の称でもあります。特に十五夜の満月は「月々に月見る月は多けれど、月見る月はこの月の月」といわれるほどです。

 中秋の名月を鑑賞する風習は、中国では唐の時代から知られていて、それが平安時代の貴族の間に取り入れられ、武士や町民へと次第に広まっていきました。庶民の間では農耕行事と結びつき、収穫の感謝祭としての意味も持っていました。中秋の名月は「いも名月」とも呼ばれ、このことは里芋など芋類の収穫儀礼であったことに由来しています。こうして庶民の間でも年中行事として長く伝承されてきました。

 また中秋の名月は古くから詩歌や俳句の材料になっており、「今宵の月」「三五夜」「望月夜」「名月」などと詠まれるのは、すべて中秋の名月のことであります。

本日は夏越大祓です。

本日6月30日は夏越大祓です。

大祓は日本人の伝統的な考え方に基づくもので、常に清らかな気持ちで生活にいそしむよう、自らの心身の穢れ、災厄の原因となる罪・過ちを祓い清めることを目的としています。多くの神社では6月と12月の晦日に大祓が執り行われますが、特に6月の大祓は「夏越大祓」とも言われ、暑い夏を乗り切れるよう無病息災を祈り、神社によっては茅の輪をくぐる神事が行われます。

祭典では大祓詞を唱え、人形(ひとがた)などを用いて身についた半年間の罪・穢を祓い、無病息災を祈るため、萱や藁を束ねた茅の輪を神前に立てて、これを三回くぐりながら「水無月の夏越の祓(はらへ)する人は 千年(ちとせ)のいのち延(の)ぶといふなり」と唱えます。

今年はコロナウイルスの感染拡大防止のため神事への参列自粛を呼びかけている神社も多くあると思われます。しかし疫病を鎮める神事でもある大祓は今年特に重要であり、30日に限らず茅の輪を設置したり、神事を何日かに分けて執り行う神社もあるようです。大神様の御加護を頂き2020年下半期も皆様が健康に過ごせますようお祈り申し上げます。

 

水無月の由来

六月!水無月です。全国の緊急事態宣言も解除され、新しい日常の中での生活が始まりました。しかしウイルスがなくなったわけではなく、完全なる日常を取り戻すにはまだまだ時間がかかるようです。これまでと同じように感染拡大の再発を防ぎながら、健康に楽しく過ごしていきましょう!

さて、現在の水無月は梅雨の季節で雨がたくさん降りますが、旧暦の六月は酷暑の最中でした。水無月の由来は諸説あり、まず梅雨も終わって水も枯れ尽きるという説があります。また田植えも終わり、大きな農作業をすべてつくしたという意味から「皆仕尽(みなしつき)」の略という説もあるようです。

 

「不盡(ふじ)の嶺(ね)に降り置く雪は六月の十五日に消えぬればその夜降りけり」

高橋虫麻呂、巻三、雑歌、三二〇

「六月の土さへ割けて照る日にもわが袖乾めや君に逢はずして」

ー巻十、夏相聞、一九九五

 

上記は『万葉集』にある六月を詠んだ歌ですが、どちらも水に関連して詠、水無月よりは水の月という意味に用いられています。このようにミナヅキは水の月であったと解釈するのが妥当であると考えられます。